太陽光発電事業を運営しているとどうしてもトラブルを避けることは出来ません。
発電事業を始めて3年半が経過し幸い大きなトラブルには見舞われていませんが、いつかは必ず不具合が発生します。
ということで来るべき時に備え太陽光メンテナンス技士資格を取得することにしました。受講費用は71500円と少々お高いのですが、今年は収入が多いので今年のうちに受けてしまうことにしました。
ということで今回はその内容についてまとめていきたいと思います。
太陽光発電メンテナンス技士■とは
太陽光発電メンテナンス技士資格とはJPMAが認定する太陽光発電メンテナンスのための民間資格になります。
太陽光発電は再生可能エネルギーの中核を担う発電技術で今後も大きく普及することが見込まれますが、その一方で発電所も増え続けていてトラブルも運用5~6年から増えていきます。
トラブルを未然に防止、短期で終息させるために常日頃のメンテナンスが重要になって来ますが、太陽光発電メンテナンス技士を受講することでその作業方法を包括的に体験理解できます。
合わせて太陽光発電に関わる各種法規や背景、パネルの構造など太陽光発電メンテナンスに必要な知識を包括的に学ぶことが出来ます。
これは太陽光発電のメンテナンス作業を行う業者のみならず、私の様に個人で発電所を運営し基本的なメンテナンスを行いたいと考える事業者の方にもとてもお勧めできる資格です。
資格認定講座の内容
資格認定講座は1日行われますが、知識を学ぶ座学部分と実際に太陽光発電所に赴いて現地で点検や洗浄を体験する技能部分に分かれます。
座学パートではFITの歴史、パネルの構造、パワーコンディショナーの機能、地域特性、計測器の使い方、トラブル事例などなどを半日かけて学びます。
話の中で雑草対策はどうするのがお勧めかなど、実践的な内容も含まれていて非常に有意義な内容でした。
最後に確認テストが実施されます。こちらは30~40問程度の〇×、選択問題ですが難易度はそんなに高くありませんでした。当日までにテキストを2~3回読んでおけば落ちることは無いと思います。
次に技能パートですが、こちらは実際に発電をしている太陽光発電所に行き、目視点検のポイントや発生しているホットスポット、パワーコンディショナーを開いてメンテナンスの計測を実施するといった内容です。以下に少し踏み込んだ内容を記載します。
■目視点検
・ホットスポットの確認。原因は西日が差し込む際に道路に立っている反射板の影。ホットスポットのパネル表面と裏面の様子が見られる。
・地盤の沈下によりパネルの不陸が発生している。
・南側に立つ木の影の影響でバイパスダイオードが頻繁に動作するため、その部分のバイパスダイオード故障を疑う。
■I-Vカーブの測定
・ストリングトレーサを使いI-Vカーブを測定。当日は既に日が傾いていたので理想的なカーブにならないことを説明。日が当たる部分については発電が多少行われていてそれがI-Vカーブの定電圧側の電流として見れた。
・計測器の使い方は非常に簡単。ブレーカOFF⇒断路器OFFし、パワコン側のプラスとマイナス端子にプローブを当てる。I-Vカーブがすぐに表示される。
■セルラインチェッカ
・送信機をパワコンに接続し、受信機で各セルをなぞっていく。基本的には各クラスター毎の一番端のセルをなぞっていけば良いとのこと。(全てのセルを見ると大変)
・問題があれば受信機の反応(音とLED)が消えるが、当日は既に日が傾いていたため用意していた故障部分の反応は見れず。
・故障モジュールのセルラインチェッカでの異常の動画データ、パネル裏面のラベル、外観写真をパネルメーカーに送ることで性能保証に掛かり交換を申請できる。
■パネル洗浄
・高圧洗浄機、シャンパー、伸縮ポール、スクイージ、デッキブラス、タオルス、ポンジ、床拭き等を使って清掃(道具は掃除の卸で一通り手に入るとのこと)。高圧洗浄機は圧力で洗うのではなく、あくまで水を散布するために使う。パネル表面に充てる時は圧が掛からないよう斜めに当てる。
・高圧洗浄機でパネル表面を濡らす⇒シャンパーで汚れを府k取る⇒パネル端の汚れが貯まっている部分はデッキブラシで洗う(強く磨きすぎないように注意。長年掃除していないと落ちないため、その際は発電に影響しない程度までに掃除する)⇒高圧洗浄機で汚れを流す⇒スクイージ水をぬぐい取る。
・雨の日に実施するとパネルを拭くだけなので楽。
・水は水道水ではなく純水を使う(業者さんは純水を作るろ過装置をお持ちとのこと)。夏場は水を掛けてもすぐに乾いてしまうため水道水は使わない。純水の場合はカルキ成分が残ることは無いため水の拭き取りは必要ない。
・洗剤は使わない。アルカリ電解水を使う(13%ほど?とのこと)
・必要な水の量や高圧洗浄機のケーブル長さを事前に準備する。
・作業は3人でやると効率が良い。
■その他
・絶縁抵抗測定は安全性が確保できないとのことで当日は実施せず。
・ストリング表が無いとメンテナンスは難しいで。これは確実に施工業者から入手する必要があります。
・最後に必ず復電したことを確認する。これを忘れて発電が止まったままになり損害賠償請求されたことがあるとのこと。
・日常点検のリストももらえました。今後はこちらをベースにメンテナンスを行いたいと思います。
個人事業で発電事業をしているのであれば絶対にお勧めできる資格
ということで今回は太陽光メンテナンス技士資格について、当日受講の様子をまとめてみました。
受けてみての感想ですが、やはりトラブルが起きるまでは経験できない不具合を現地で確認できたことは非常に大きく、今後自分の保有する発電所で不具合が発生しても落ち着いて対処できそうです。これはとても安心感があります。
計測器を実際に使用することも出来ましたので、計測器は高価で一式100万円ほどしますがレンタル等で自分で定期点検をすることも可能だと思うに至りました。
私は既に電気工事士二種の資格も持っているため、点検や修理の作業はこれで自分で行うことが出来ます。
発電事業者としては持っていて絶対に損をしない資格です。講習の内容も非常に実践的なものでした。発電所をお持ちの皆様にはとてもお勧めできる資格です。
それでは本日もありがとうございました!